ーこの事象は、今回行われている作戦の一つにすぎないー
本日、彼女は死亡した。
とは言うものの、病気で亡くなったわけでも、交通事故にあったわけでもない。
我々の作戦により、AERIE SECURITYの管理する公文書上において、死亡者という扱いになったということである。
この作戦により以後、彼女の情報が公文書上で更新されることはない。
昨日、彼女に今回の作戦内容を伝えた。
危険が伴うにも関わらず彼女の表情は晴れやかになり、喜びに満ち溢れていた。
このような指令を出す理由はただ一つ、この社会のせい、としか言い表すことができない。
彼女には血縁者が存在しないため、死亡後の肉体は無機質なビニールバッグに包まれ、一時的にAERIE SECURITYの管理下に置かれる。
彼女にはその管理下にて、とある作戦を実行してもらう。
AERIE SECURITYによって死亡後の肉体がどのように管理、処理されているかをわたしたちは知らない。
どのような結末を迎えるかは未知数であるが、この作戦を成功させることが彼女に課せられた使命であり、きっと我々Trimurtiの利益へ繋がるであろう。
我々の理念は「三神一体」すなわち、破壊・創造・維持である。
“Trimurti”