わたしにとってこの世界は最低だ。
現在の徹底された監視社会は多くの善良な人々が安全に生きていくためにつくりあげられたシステム。
至る所にカメラがあり、情報は管理され、反社会的行動があればそれらを管理することを政府から命じられたとある企業が動き出す。
大勢の驚きも、悲しみもない生活を守り続けてくれる。
かつては法律という、決められた明確なルールがあり、それが全てだった。
今それを決めるのは”彼ら”である。
ルール違反をする前から警察は動けない。
いわゆるグレーゾーンへの措置が存在しない、政府と社会が求めたのはそれらにさえ対処し、一切の悪が存在しないし得ない状態
そんな理想の対策として、一企業でありながら、可能性があるものに対する実行権を与えられたのが”AerieSecurity”
彼らの登場によって実際の犯罪率は急激に減っていった。
周りは自分自身を善良であると信じ込み、粛清されるのは一部の異常者だと言っている。
しかしそんなのはあくまで思い込みでしかない。
彼らに善悪を選ぶ権利があるというのなら、自由に私たちをもて遊ぶ権利があるという意味になる。
どんなに考えても、頭の中から消えない不安感に迫られる日々というのは私には耐えられないものがある。
そこから抜け出した先にあるのは誰もやらないような仕事
美しい世界の汚点とされるような“異常者”を相手にした仕事
今日も1人、監視から潜り抜け、このコインランドリーで彼らに受け渡しをする。