人々が幸せに過ごしている時間が、わたしは嫌いだ。
正直、自分が感じる”幸せ”という感情とはまた違う幸福を見せつけられているようで虚しさを感じてしまう。
自分自身が感じたことのない種類の幸せという感情を、知らない人間が噛みしめることを許容する心がない。
そんな自分の感情が正しいとは思わない。
だから誰にもこの思いを吐いたことはないし、今後感情を顕にすることはないだろう。
それでも、この拭えない感情に対してなにか答えが欲しくてしょうがなかった…。
- 12月24日 -
わたしにとって、今日ほど最悪な一日は存在しない。
伝統に目を背け、商業的イベントと化したこの季節。
しかし、人々はこの冬のムードに呑まれ、街が笑顔で溢れかえっている。
街を彩るイルミネーション、ケーキを片手に手を繋いで歩く親子、七面鳥のディナー、サンタクロースのプレゼント…。
数を挙げればキリがない。
まるで幸せであることが義務であるかのようなこの空気が不愉快極まりない。
街を少し離れた行きつけのハンバーガーショップ。
その場所なら強要を強いられる幸福から少しでも逃れることができる、はずだった。
いつもの好きな食事を食べて、この不愉快な現実から逃避することをわたしは求めている。
しかし、誰かがわたしの場所に座っている。
まるで、この一日が自分たちに幸福をもたらしていると言わんばかりの満面の笑みを浮かべた二人。
あぁ、この場所でも幸せの仮面を被ることを求められているのか。
わたしの中でなにかが弾けた瞬間、肉が焼ける匂いのするキッチンへ走った。
なにかを強く握りしめ、力の限り振り回した...